高田中央病院内科 日本糖尿病学会 糖尿病専門医 荏原 太
糖尿病で一番怖いのは「症状がないこと」です。
そのため、糖尿病と診断された患者さんの半数以上が、治療を継続できないまま放置しているのが現状です。
なぜ早期治療が大切かというと、2型糖尿病の場合、糖尿病になってから治療に入るまでの期間が短いほど、血糖値を正常に戻すことが容易になるからです。
初期の段階で治療を開始すれば、生活習慣病の改善だけで血糖がコントロールできる場合もあります。服薬の場合も、ごく少量の薬で改善がみられます。
「両足がしびれる」「視力が落ちた」「のどがかわく」「体重が減った」など、典型的な症状が出てから治療した場合、生活習慣の見直しだけで改善できる機会を逸してしまうのです。
初期の2型糖尿病における治療方針の主軸は、食事療法と運動療法です。
最近では、良質な睡眠も重要であることがわかってきました。食事については、患者さんそれぞれの運動量やライフスタイルに差があるので、実際にお話しをお聞きしながら個々の患者さん合わせたオーダーメイドの食事療法を行うと非常に有効です。
サプリメントなど健康に良いと思って実行していることでも、糖尿病の方にとってはよくない場合もあります。
ご自分の正確な状態を知る意味でも、血糖値が高いといわれたら、一度は専門医の診察を受けてほしいと思います。(フジサンケイリビング 1月29日横浜版より)